「わたしはバカ。」

「なおこせんせい、どろけいしよう!」
「うん!なかまは?」
朝の園庭で、その日はどろけいの気分。
程なく集まったどろけい仲間。
とは言っても、新しく入園したこうきくんも、
一度もどろけいをしたことのないさくらぐみのさわちゃんや、
ゆうなちゃんも入ってきて、とても盛り上がりました。
もちろん、「どういうやりかた?」「あのね・・・・」
と、確認するところから始めて次第に仲間になっていきました。
『けいさつ』になりたい人、『どろぼう』になりたい人、
それぞれに好き好きがあるようです。
つまり、逃げるのが好きな人と、追いかけるのが好きな人。
びっくりするくらいすばしっこく逃げ切る『どろぼう』と、
その動きを目で追いながら、隙を見てタッチする『けいさつ』・・・・
その朝のどろけいは、みんな思っていた以上に楽しくて、
また、お弁当たべたら、続きしようね、と約束して解散。

さて、お弁当を食べた後、
約束どおり、どろけいの続きを始めました。
すると今度は、みんな『けいさつ』になりたくて、
『どろぼう』は、わたしだけ。
でも、それではどんなに続けても終わりが来なくて、
つまらなくなってしまいました。
何度やってもそんな感じ。
そのうち、片付けの時間になってしまいました。

すると、どろけいの言いだしっぺだったAちゃんが、
いかにも不機嫌そうな様子でジャングルジムの方に行ってしまいました。
心配して後を追ったBちゃん。
しばらくして、砂場の道具を洗っていたわたしの所に来て言いました。
「Aちゃん、バカなんだって。」?????
「そんなことないよ!」
すぐにそのAちゃんもやって来て、
「Aちゃん、バカなんだ。」と、自分で言い始めました。
「そんなことないよ!」
「ようちえんではバカじゃないんだけどね、おうちではバカになるの・・・」
すると、Bちゃんも、
「Bもバカだよ・・・」
「そんなことないよ!バカ、てどういうこと?」
「なにをいっていたかわすれたり・・・だから、だれが『どろ』なのか、
 『けい』なのか、すぐにわすれちゃうの・・・」
そう言って、とても困った顔をして見せました。
「それじゃあ、赤白帽かぶればいいんじゃない?」と、言ったら、
2人ともそれはいい考えだ、とすっきりした表情になって、片付けを始めました。

さて、AちゃんBちゃんとどろけいの関係はさておき
「わたしはバカ。」と、言わしめたこどもたちの心にショックを受けました。
幼稚園では、自分のペースでいろんなことに挑戦して、
小さなことでもたくさんほめられ、失敗体験はないのです。
だから、バカではない、堂々と自信に溢れた「わたし」。
でも、多分お家では、タイミングが悪くて叱られたり、
言ったけれどもその通りにできなくてがっかりしたり・・・・・
だから、わたしってバカだ、と劣等感をこどもながらに積み重ねていたんだと思います。
そんなこどもたちのことがかわいそうになって、
お家でも、自信に溢れて欲しいな、と思ったと同時に、
ありたい自分と、そうできない自分のギャップを感じながら、
わたしたちはおとなになっていくのかな、とも気づかされました。

わたしにも覚えがあります。
悪気はないけど、何度も何度も同じ失敗を繰り返してしまい、
親からは、「また・・・」と言われて、よく叱られました。
そのうち、わたしはダメだあ・・・と、失敗を恐れるようになり、
そうなってくると、不思議なことに、また同じ失敗を繰り返してしまうのでした。
失敗から学ぶこともあるけれど、失敗として受け止めなければならないことは、
そんなに多くはないと、わたしは思います。
だから、こどもたちは失敗を恐れることなく、
堂々と自分らしく、いろんなことに挑戦して欲しいと思います。

こどもがおとなになるのは焦らずに、
タフで、諦めなくて、自信満々なこどもであらせてあげたいと思います。


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[ 2013/05/12 23:36 ] 保育 | TB(-) | CM(-)