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北風と共に

北風の吹きすさぶ園庭。
でも、登園するなりのんちゃんは、縄跳びを握り締めて飛び出してきます。
「なおこせんせい!みて!」「うん!!」
そして、わたしの目をジッと見ながら、ピョンピョンピョンピョンと、
自信満々の笑顔で跳んでみせます。
程なくしてまみちゃんもやって来て、
ジャングルジムをスタートに、ダダダダダダダ・・・と、
マラソンを始めます。
冷たい冷たい北風は、2人にとっては良いライバル。
『北風小僧のかんたろう』の歌を思い出し、寒さに向き合いながら、
遊びを広げていくこどもたちのたくましさを感じました。
だから、『こどもは風の子』と言うのでしょうか。

さて、そんな『風の子』たちも、
寒さに、だんだんと鼻水を垂らしながら、肩をすくめ始めました。
なにしろ、わたしはフリースを着ていても寒がっているのに、
こどもたちは、ブラウス1枚なのですから。
で、ジャングルジムにブルーシートをかけよう、ということになりました。
北風に邪魔をされながら、ブルーシートをスズランテープで固定し、
それでもむき出しになっている所には、
取っておいた大きなビニールをありったけ、くくり付けていきました。
「あったかーい!」
庭にでてきたせらちゃんもかおちゃんもひろこちゃんも、大喜びでした。
こうして、おうちごっこが始まったわけですが、
わたしは、大工さん気取りで、かのんちゃんやみーちゃんと相談しながら、
ダンボールを取ってきて、『家』の中に置くテーブルやら、いすやらを作り始めました。
そして、大きなダンボールは、ねこになったかのんちゃんのおうちになりました。

それから1週間、善隣のジャングルジムは、
ブルーシートで覆われているので、お母さんたちには、
「工事かと思っていた・・」と、言われるのですが、
こどもたちのお城になったり、アリエルごっこの舞台になったりしています。


さて、『工事』と言えば、
園庭の中に、暖をとれる場所ができたことには興味を持たず、
ひたすら砂場遊びに熱中している一団がいます。
思い返せば、2学期のいつごろから、毎日この『工事ごっこ』が続いていたでしょうか。
園庭で、場所を替えながら、かーくん、たいがくん、まことくん、すみちゃんは、
黙々と、自分達の世界を広げていました。
最初の内は、どろを山盛りにして、プラスチックの水道管を突き刺し、
上から水を流し込んで、どこかの管から水が噴出してくるのを楽しみながら、
「ガスもれ」と、言って遊んでいると思っていましたが、
ある日、管から噴出す泥水をショベルでグッグッと、溝に送り込みながら、
「しんぞう」とか、「ちだぁ」とか言っているのが耳に入りました。
いよいよ、体の中にまで、入り込んだかぁ、と感動していると、
「ここがおなかでおしっこがでてぇ」と、まあ、彼らは、
ミクロの世界もどんどんと広げていくのでした。

見ているとこの遊びは、「○○をつくろう」と相談しながら進めているのではなく、
外に飛び出し、シャベルを握ったその瞬間にひらめいていくおもしろいことを
みんなで繋げていく遊びにようで、時に、
「だれか、たすけてー」との声を聞いたなおちゃんやこうせいくんが
「いいよ!!」と、張り切って加わったり、
「いーれーてー」と、るいくんが入ってきたり、
まさに即興的で、芸術的なのでした。
だから、いつまでもドキドキワクワクが続いていて、
こんなに寒いのに、スモックをぬらしながら、水を運び、砂場に流し込んでは、
丁寧にどろどろを作って世界を広げていけるのでしょう。

そこで、お母さんたちからの提案。
「長靴も持たせていいでしょうか。」
「いいですねえ。2つあれば、1つ置いててもいいですよ。」
翌日から、長靴をはいた芸術家たちは、足がぬれることを気にしないで、
遊びに励んでいます。
こんなすばらしいこどもたちの背後には、
こんなすばらしいお母さんたちがおられるのですね。


ところで、同じ人たちばかりが砂場を占領しているのは、よろしくない、と思われますか。
それは、こどもたちが、どんな関係で遊んでいるかによります。
『壁』のないはずの園庭に、入りたいのに入っていけないような『壁』を
こどもたちが作っていたら、それを内側からも、外側からも乗り越え、
崩す工夫を一緒にやっていきます。
でも、今、善隣の庭は、互いがおもしろい遊びに出会っているからこそ、
互いを尊重しあって、『壁』を作る必要もなく、満足して遊んでいるような気がします。
ひまわりさんは、どろけいをテラスでするようになってから、
最近は、全員でドッヂボール。
ジャングルジムのお城も、頼まれればももさんに譲ってあげてます。
なわとびをして、体が温まったら、庭の片隅でどろだんごを作ったり、
字隠し(地面に文字を彫って、砂で隠し、相手に指でなぞらせて当てさせる遊び)をしたり。
『壁』のない、でも、それぞれの思いのある遊びは、室内でもまた繰り広げられています。


北風と共に、こどもたちはたくさん遊んで、心は温かく育っています。
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[ 2013/02/16 12:42 ] 保育 | TB(-) | CM(-)


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