本当の運動会

「本当の運動会」は、秋晴れのひろーい校庭で行いました。
65人全員参加!もう、それだけですごいことです。
前日からお母さん達が、用具の移動や搬入にもお手伝いくださり、
みんなの力で運動会が成り立つことに、心から感謝をして迎えた当日でした。

幼稚園では、「ミニ運動会」と称して、狭いお庭で部分的にしか、
運動会を楽しめないでいましたから、
待ちに待った「本当の運動会」に、うれしくてうれしくてしょうがない人。
そうでなくても疲れ気味の土曜日に、初めての場所にたくさんの人で、
とっても不安な人。
とうとうきてしまった大嫌いな運動会にとっても不満な人。・・・・・
65人分の様々な思いが広い校庭に集まりました。

夏休み前から思いを暖め、丹念に計画、準備をしてきたわたしたち教師は、
当日、重い役割をそれぞれに抱えていて、
前の晩、眠れなかっった人もいたようですが、
朝のミーテイングで確認したのは、今日もいつもと同じ保育であること。
つまり、こどもたちひとりひとりを丁寧に受け止め、育てることが、
一番大切な役割だということでした。


さて、いよいよ運動会が始まってみると、
場所も人の多さもいつもとまったく違うのに、
こどもたちは案外いつもどおりでした。
初めての運動会に戸惑うもも組さんは泣き、
2度目の運動会に自信と期待をもっているさくら組さんは、いきいきとして、
3度目の運動会で、たくさんの活躍の場をもっているひまわり組さんは、堂々としていました。
でも、もちろん人それぞれですから、わたしたちもいつものように、
ひとりひとりに何が今必要か、瞬時に判断しながら寄り添えるようにしました。
そして、今回の運動会で、わたしが考えさせられたのは、
お母さんがたが、果たしてくださった役割でした。
もしかしたら、わたしたちの手が届いていなかったから助けてくださった、
ということかもしれませんが、
不安になって、競技に出るのを渋ったり、泣いている我が子を
手をつないだり、だっこしたりして励ましながら、
競技に出てくださったことです。
その姿に、うーーん、いいのかなあ?・・・・と、思い巡らしながらも、
今日の不安な気持ちを お母さんに優しく包み込んでもらうことが、
その子が一番望んでいることかもしれない、と思い始めました。
それにしても、今年の運動会は、そんなお母さんの姿が、とても自然に感じられたのでした。
「みんなちがって、みんないい」
運動会のテーマの通り、運動が嫌いな人もいるよね、渋りたくなることもあるよね、
と、ひとりひとりの違いを受け入れる、ゆるく優しい空気を感じました。


運動会ではまた、予想を超えたこどもたちのすばらしさを目にして、
涙が溢れてくることもしばしばです。
ひまわりさんの組体操も練習の時から、わたしはハンカチが手放せませんでした。
そして本番。
うれしくてたまらない、という感じで、
にこにこと、ちょっぴりおしゃべりさえ聞こえてくるほどの
リラックスぶりのこどもたちでしたが、
ひとつひとつの技が決まり、演技がクライマックスに近づくにつれて、
16人の集中力と一体感は、どんどん高まっていくのを感じていました。
そして、「一本橋」。
一列になって前ならえをして等間隔を作り、地面に手をついて
両足を後ろの人の肩に預ける、という大技です。
と、ひとりの子の前ならえが、いつもより、とても広く取ってしまっていました。
そのままでは、前の子の足がかけられない・・・・・
でも、その子は気づかないでいました。
すると、足をかける直前に、前の子がすっと、後ろに下がるではないですか!!
もちろん、「一本橋」は、大成功でした。
まさに、お互いをさりげなく補い合い、支えあうすばらしい組体操でした。
すべてを終えてマイクを手に、コメントをするわたしの声は、だんだんと震えてきて、
いつものように、ウルウルしていました。

本当の集中力は、だれかに言われて追い込まれて付くのではなく、
自らの心で感じながら、高まっていく自由さの中で生まれるのではないかと思います。
だからこそ、その瞬間にすばらしいアイディアや力が発揮されるのではないでしょうか。


「本当の運動会」で、出会えた貴重な体験が、
こどもたちひとりひとりに、そして、おとなのわたしたちにも
きっとあったことと思います。



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[ 2012/10/14 20:11 ] 保育 | TB(-) | CM(-)