カメ子とチョコ

善隣には、カメ子とチョコという2ひきのカメがいます。
カメ子の前には、ヘレンという子もいました。
ヘレンは、園外保育の帰り道、もうすぐ園に着くか、という所で、
道路を横切るカメを わたしともとみちゃんが見つけたのでした。
ご近所に「おたくのカメですか?」と、尋ねてみましたが、「ちがう。」ということだったので、
ひまわりさんが飼うことになりました。
翌日だったか、たまたまわたしがいさくくんに、「名前、どうする?」
と、聞いたところ、「ヘレン」と答えたので、名前はヘレンになりました。
そのころはやっていた、『こぎつねヘレン』という映画から浮かんだ名前だったようです。

このヘレンとのドラマも結構生まれました。
生き物大好きな男の子2人が、ヘレンの研究(?)をしていて、見失ってしまい、
「ヘレンをしりませんか」と、ポスターを張り出したりして、大捜索をしたこともありました。
結局、保護者の方が、「道路を歩いていました。」と、園の前を横断していたヘレンを
保護してくださったのですから奇跡です。
その後、4代に渡ってひまわり組がクラスの一員として、ヘレンを大切に育てました。
ある冬の日、ヘレンが突然動かなくなった時も、『死』について考えさせられ、
墓石(木に絵を描いたのですが)を作り、お祈りをして、みんなで埋めました。

さて、ヘレンの死に、幼稚園で生き物を育てることに、少し消極的になっていたところに、
突然、カメ子はやってきました。
「カメがいました。」
帰宅途中だった園児と保護者の方が、引き返して持ってこられたのです。
翌日、こどもたちは大喜び!
すぐに、まあやちゃんが『カメコ』と名前を紙に書いて、張り出していました。
ヘレンの時もそうでしたが、わたしはカメの種類だの、オスメスの見分け方だの、
育て方だの、この機会にこどもたちに興味をもってもらいたい、と思うのですが、
こどもたちは、直感で勝手に名前を付け、付いたと思ったら、もう飼い始めているのです。
一応、ひまわり組で話し合いをしたと記憶していますが、
かくして、カメのカメ子は善隣の仲間になったわけです。

最後に、チョコですが、この子も迷子ちゃんでした。
卒園生の保護者の方が、「ヘレンじゃないですか?」と、持ってきてくださったのです。
でも、ヘレンは、1年前に亡くなっていましたから、違います、なのですが、
結局、飼っております。
ちなみに、来た時は緑色をしていたのですが、
たわしで洗ってみたら、ポロポロと苔が取れ、下からチョコレート色の甲羅が出てきたので、
こどもたちと、「チョコ」と名付けました。


わたしの見立てによれば、セイブニシキガメのカメ子と、クサガメのチョコ。
毎朝、ひまわりさんがブラシで体と容器や石を洗い、お散歩をし、水を替えてえさをあげています。
もちろん、このお仕事を喜んでする人もいれば、苦手な人もいます。
でも、お当番が交代でやることにしたので、協力することにはなっています。
ところが現実は、担任が声をかけても、「キャンセル」と、にこにこして遊び続ける人もいます。
さて、ここでどうするか。・・・・・
強制ではないし、他にしたい遊びがあるのだから、
「いいよ。わかった。」と言って、快く担任ややりたい人がフォローするのもひとつでしょう。
でも、時と場合はありますが、わたしは、生き物をお世話することの責任に少し気づいて欲しい、と思っています。
「えーー!?カメ子もチョコも生きてるんだよ。あんな汚い水じゃあかわいそう。」
「○○くんがしないから・・・」
「うん。でもあなたは?」
「じゃあ、ひとつだけやるよ。」
こんなやり取りをこどもたちは耳にしながら遊んでいます。
この時は、2人のお当番さんが、自分なりにお世話をして、いつの間にかどこかに行ってしまいました。
すると、「わたし、やっていい?」とやりたいと思っていたのか、わたしを助けようとおもったのかは
わかりませんが、他の人が来て手伝ってくれました。

生き物を育てることは、好き嫌いを越えて、責任のあることだということを知って欲しいと思っています。
それは、命は尊いもので、互いに慈しまなければならないことを知って欲しいからです。


さて、夏休みの間、カメ子とチョコは優しい『里親』さんのお家で過ごしています。
善隣のご家庭に順番に預かっていただいているのです。
今日、カメ子はしょうたろうくんのお家から、るかちゃん家に移り、
チョコはたいがくん家から幼稚園に連れてきていただいて、みさとくん家にお渡ししました。
しばらくお世話をしていると、別れが辛い、とおしゃっていました。
「ぼくね、チョコをもてるようになったよ。」
「パパがね、しらべてくれたんだけど、カメ子はみずをたくさんいれたほうがいいんだって。およいでたよ。」
と、しょうたろうくんが得意になって教えてくれました。
家族ぐるみでかわいがってくださったことがよくわかりました。
ちいさなカメを取り囲んでも、たくさん感じ、たくさん語り合い、たくさん学びあえることがあります。
カメの歩みのように、わたしたちもゆっくり歩んでいきたい、と思います。


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[ 2012/08/03 16:56 ] 保育 | TB(-) | CM(-)