ひとりになりたい

2学期が始まりました。
「毎日、まだ?まだ?と言って、幼稚園をずっと楽しみにしていました!」
幼稚園大好きなこどもたちの思いは、
早く幼稚園にこどもたちを送りだしたいお母さんの本音とも重なって、
長い長い夏休みの終わりを喜ぶ声となっています。
早速、虫取り網を担いで虫を追いかけたり、地面に座り込んでどろだんごを作ったり、
こどもたちは幼稚園に戻ると、体が自然にやりたいことに向かって動き始めていて、
わたしはそんな姿をとてもうれしく眺めています。

その中には、1学期よりももっと大きな声で泣き叫びながら、
お母さんに抱きしめられて登園する人もいます。
でも、担任の先生の腕にバトンタッチされて、さてどうする?と、様子を伺っていると、
程なく自分を取り戻して、何事もなかったかのように遊び始めていました。
お家では、拠り所であるお母さんに甘えたり、反発したりしながら、
なかなか思うようにコントロールできない自分の心と戦っているのだと思います。
そんな自分の領域から、急に幼稚園という社会に戻されても、
すぐに順応できない時もあります。
でも、お母さんとさよならしてしまえば、自分の持っている「なんとかしよう」という力が湧き出てくるのです。
(だからと言って、どんなに幼くても親から離すことが良いことというわけではありません。時期があります。)

さて、今週はお天気の良い限り、プール遊びを楽しませてあげたい、と思って、
自由遊びの後は、水着に着替えていざプールへ!!なのですが、
準備を手伝いながら、階段をおりてくると、職員室の前に水着で座りこんでいためいちゃんと目が合いました。
「どうした?困っているの?」
そっと尋ねてみると、すぐに小さくうなずいて話始めました。
「なおこせんせい?どうしてようちえんには、ホールとれいはいどうとさくらぐみとももぐみとひまわりぐみしかないの?
ひとりのへやがないの?」
きたーーー!!!わたしは思いました。
実はおとといもクラスでお友達と行き違いがあったりして、
すっとお部屋から出てきてひとり、職員室の前のスペースで悶々としていためいちゃんだったのです。
こどもには、ひとりの時間がとても大切で、その時間を経て成長する、と思ってきました。
めいちゃんは、そのことをこども代表で教えてくれたのです。

「そうだね。だから先生のお部屋があるんだよ。先生のお部屋に入っていいんだよ。」
「うん。」
出してあげた小さないすにめいちゃんは、ちょこんと座りほっとした表情でした。
そして話始めました。
「おうちだったら、ひとりのおへやなのに、ママがいてもいいけど・・・・、
ようちえんだったら、いつもみんながいるから、ひとりになれないから・・・」
「そうだね。ひとりの時はどんな気持ちなの?」
「ひとりになって、みんながいるからたのしい。」
なるほど!!みんなと遊ぶのはすごく楽しいけど、楽しいばかりではない、けんかになることだってある。
大嫌いになることだってある。怒っている自分をどうしていいかわからなくなることだってある。
だから、自分を見つめる時間が欲しくなるのだと思います。
そんな5さいの素直な気持ちを言葉にできためいちゃんはすばらしい・・・・

「さくらさん!!」
和実先生の声が聞こえてきました。
「行こうか!」「うん!」
めいちゃんは、すくっと立ち上がってクラスにもどりました。
プールバッグとバスタオルを両手に持ち、友達に交じって外に並び、
落ち着いた表情でテラスのプールに向かっていきました。

ママと一緒の時間。友達と一緒の時間。そしてひとりの時間。
この、3種類の時間と空間を行き来しながら、こどもは内側も外側も育っていくのだと思います。
その行き来を自分で調整できるようになることが、どこででも生きていける力を身に着けるということだと思います。
だからおとなは、こどもを未熟な存在として何でも教えようとすることを止めて、
こどものすでに与えられている力を信じて、こどもの決断を待つことが大切だと思います。

夏休みを経て、ますます内側も外側も成長したこどもたちひとりひとりが、どんな決断をしていくのか、
その瞬間瞬間を楽しみにみつめていこうと思います。
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[ 2014/09/06 11:33 ] 保育 | TB(-) | CM(-)