月別アーカイブ  [ 2014年03月 ] 

手放す

『おわかれかい』とか言うと、この時期のこどもたちの心には、寂しく響くようなので、
今年は『サンドイッチパーティー』と呼ぶことにしました。
もも組とさくら組が、ひまわり組のために一応内緒で準備をし、
お母さんたちが作ってくださるサンドイッチをみんなでいただく、
善隣の伝統行事です。

この日のために、さくらさんはデザートのブラウニーをこっそり焼き、
ももさんと一緒にホールの飾り付けを さ・さ・さ・・・とこっそりします。
今年は、ひまわりさんを驚かせたい!ということで、
前日から本番直前まで、ホールのカーテンを閉め切って、
『たちいりきんし』の看板も出しました。
覗こうと思えば覗けるけど、こんな準備がこどもたちのわくわくをかき立てます。
そして、各クラスの出し物の準備にも余念が無く、
さくらさんは、大好きな歌『虹のむこうに』を ももさんは、手遊びの『しずかな森かげに』を披露。
もちろん、ひまわりさんはオリジナルバージョンの劇『わんぱくだんのペンギンランド』を熱演しました。
それから、わたしたち先生チームの今年の出し物は、
定番の『思い出のアルバム』を善隣バージョンに替え歌して、コメディータッチに動きを付けたものと、
ようこ先生お薦めの『おおきくなって』を歌うことにしていました。
これが困ったことに、絶対に涙を誘う歌なのですが、
『思い出のアルバム』で笑いを取っておけば、その勢いで、笑顔で大きな声で歌える、と思っていました。

そして、本番。
大うけのはずの『思い出のアルバム』は、意外にも、こどもたちはキョトンとした表情で、
お手伝いのお母さんたちは、何故かその時点から涙だったとか。
さて、2曲目。
「歌詞をしっかり伝えようね。」と、朝、先生たちに言っていたはずのわたしは、
不覚にも、途中から歌えなくなってしまいました。
だって、端っこに座っていたちーちゃんが、右手で涙をぬぐっているのですもん。
ううううううう・・・・と、全く声になりませんでした。
ああ、恥ずかしい・・・
それに、卒園をさみしがっているこどもたちの前でわたしが泣いちゃうなんて・・・
ごめん、ごめん・・・そう思いながら、楽譜で顔を隠し、
ちゃーん・ちゃーん・ちゃーん と、お辞儀をした後は、知らん顔で笑ってみせました。

その後、ちーちゃんの所に駆け寄ったら、
「ずっとここにいたい!」と、思いのたけを言葉にしてくれました。
「ずっとここにいてほしい!」わたしも、後ろからちーちゃんを抱きしめながら、言ってしまいました。

そうです。こどもたちを送り出さなければならないことは、
もっと一緒に過ごしたい・・・、もっと何かしてあげられるのに・・・、という思いにかられてしまい、
とても寂しくて、いつも卒園式を終えた後は、脱力感で呆然としてしまうのでした。
でも待てよ、と思いました。
もっと何かしてあげられる・・・なんて、高慢・・・
その時がきたら、「わたしの役目はここまで。」と、限界を受け入れ、
「わたしにできないことがたくさんある」と、謙虚にならなければ、と気づかされました。
そして、次のステージでこどもたちは、もっと成長していく、
と、こどもを信じて、手放すことが大切だと思いました。


そんなこころぞなえをして臨んだ卒園式。
かわいくていとおしくて仕方の無いこどもたちのことを
悲しい涙ではなくて、言葉に表せないたくさんの思いの詰まった少しの涙で見送ることができました。
と言っても、「あれで少しですか?」と、後で呆れられたのですが・・・・

それにしても、我が子を幼稚園に送り出した日から、少しずつ手放すことを経験してきたお母さんたち。
だからこそ、こんなに成長して堂々と壇上に立っている我が子を前にして、
感動の涙が溢れておられました。
「わたしが善隣を卒園できない。」
と、心境を伝えてくださる方もおられました。
それほど、お母さんにとって、幼稚園の存在は大ききかったんだなあ、と改めて思わされました。
わたしにとっても、こどもが出会う喜びや痛みを共に分かち合ってきたお母さんがたとのきずなは強く、
このお母さんがたを手放す寂しさを感じる程でした。

ところで、「ずっとここにいたい。」「そつえんしたくない。」と、あれ程心配顔だったこどもたちは、
卒園式では、きりっとした表情でした。
例年は、修了証書を渡す時、長くなりすぎるので最初と最後の人の文章しか読まないのですが、
練習の時、「なんでよまないの。ぜんぶよんでよ。」と、なおきくん。
みんなもうん、うん、と頷いていました。
それじゃあ仕方が無い、と、本番では、ひとりずつ大きな声で読み上げてあげました。
型どおりの難しい文体なのですが、真剣なまなざしでまっすぐにわたしを見つめて聞いていました。
そして、しっかりと両手で受け取って、お母さんのところに渡しに向かっていました。
その足取りの力強かったこと。
こどもたちは、ひとつひとつの経験を自信に変えて、一歩一歩前に向かって進んでいることを感じました。
そしてわたしは、最後にひとりひとりに聖書を手渡して送り出しました。

善隣のよいところは、手放したらおしまい、ではなくて、
また、いつでも帰ってくることのできる教会や教会学校がある、ということです。
まるで親子のように、離れているけど、つながっていることができるのです。
これからも、このかわいいわたしのこどもたちのことを祈って待つことのできる楽しみが、わたしにはあります。





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[ 2014/03/20 17:10 ] 保育 | TB(-) | CM(-)

にんきさあびすほてる

すみちゃんの温泉ごっこのその後。

ホールの片隅には、ダンボールや廃材が雑然と重なったまま数日が過ぎていきました。
まだ続けたそうだけど、形になっていかない・・・・
限られたスペースなので、どこまで遊びを保証してあげるべきか・・・・
「かたづけよう!」と言うのは簡単だけど、こどもたちの時が満ちるのを待ちながら、
しつこく環境を整えることが大切だと思います。

さて、その遊びはなんと、先日、温泉ごっこが崩壊してしまった原因となった
えいたくんとのおうちごっことなって続いていました。
そして、ホールのもう一方の隅では、なおきくんのホテルごっこが続いていました。
どうも、そのホテルとの行き来もあるようでしたが、どんな物語が繰り広げられているのか、興味津々でした。

25日の午後。
むっちゃんと一緒にホールに遊びに行くと、箱積み木で作った「受付」の向こうで、
なおきくんは、忙しそうにしていました。
「ホテルに泊まろうかなあ・・・・えーー!1000000000えん?!高いなあ!そんなお金ないよう!」
「ぎんこうでかりたら?」
ホテルの隣には、たつひこくんとかなるくんの銀行がありました。
「10億円、貸してもらえますか?」
「いいですよ。ちょっとまってください。」
そう言って、お金に見立てたブロックを気前よくむっちゃんに渡してくれました。
それをもってホテルの窓口へ。
ブロックで作った鍵を預かって部屋へ案内してもらいました。
それがうわさ通りの狭さ。
むっちゃんは、するすると積み木の階段を登って、空間に入っていきましたが、
わたしは体をよじるようにして、おしりから滑り込みました。
でも、収まってみると、中にはまことくんの作ったという、新聞紙をゴミ袋に詰め込んだ『ベッド』・・・・・
ん?待てよ?これってすみちゃんたちが使ってた温泉に見立てた新聞紙じゃないの?
とにかく、結構居心地がいいのでした。
このホテル、時々お掃除タイムがあって、牛乳パックで作ったちり取りを手に、
なおきくんがおしりから部屋に入ってくるのでした。
それも楽しくて、いつまでも滞在したい気分でした。
でもそろそろ飽きてきて、部屋から散歩にでかけると、掃除担当のひろこちゃんが、
すぐに従業員専用の非常口から入ってきて、部屋を整えてくれていました。

さて、その後1週間、ホテルの経営は続いていたのですが、
ある日、むっちゃんと訪れてみると、看板はなくなっていて、、
「受付」の向こうには、ブロックで作った武器を手にしたひまわり男子。
「にんきさあびすほてるに泊まりたいんですけど。」
「もうやってません。いまはじえいたいのきち。」と、たつひこくん。
「えーーー!ホテルの方がいいよう!」
そんなわたしたちの声にニヤニヤしながら、武器を持って出たり入ったりしていました。
なんでも、自慢の、箱積み木で作った入り口は、頑丈に2重ドアになっているそう。
そういえば、ももの頃はブロックの武器でよく遊んでたよなあ・・・・と懐かしく思い出しながら、
かたづけの時に気になったのが、
『るいほんとうわいわなかったけどいいよとくべつ』と書かれたチラシ。
そのいきさつを見守っていたなお先生から、後で話を聞きました。

実は、かなるくんの弟のるいくんは、前々からホテルごっこに入りたかったらしい。
でも、これはひまわり組の遊びだから、さくら組のるいくんを入れるわけにはいかない。
仲良しだから、本当は入れてあげたいけど、他のさくら組まで入れなければならなくなるかもしれないし・・・・
それで、最初はダメだと伝えた。でもやっぱり、特別に、るいくんだけはいいよ、ということになり・・・。
・・・・まあ、そんないきさつらしいのでした。
で、るいくんを入れた後、ホテルごっこは基地ごっこになっていったらしいのでした。
あーーこの柔軟性。感動的です。
しかも、これは『とくべつ』と、周りに示しながら遊んでいるのです。

誰とでも遊べるようになるのが成長、と思いがちですが、
この遊びはこの人とするとおもしろい、とか、この人はこれが得意などと、
その人の『とくべつ』に気づいて、自分も『とくべつ』で、おもしろい人なんだ、と胸を張れることが、
本当の成長だと思います。

ごっこ遊びは、ひとりひとりの『とくべつ』に気づけて、本当におもしろいと思います。
[ 2014/03/02 23:36 ] 保育 | TB(-) | CM(-)